日記、ところにより妄想。
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 前回の補足。 ■気温の課題 さて、ドラゴンを外温性変温動物と解釈した場合、困ってしまうのが気温です。
現代は人間にとって適した環境です。 つまり、人間を主役にした世界観の場合、どうしても環境設定はスタンダードなレベルに合わせる必要があります。
熱帯だとか永久凍土だとか極限の環境下を描きたいのであれば別ですが、基本的には我々が生活している環境をベースに構築せざるを得ないでしょう。 内温性恒温動物である人間はどんな環境でもそれなりに生存でき、物語の主役となることができますが、そんな厳しい環境ではクリーチャーのバリエーションが狭まるのは事実ですし、ファンタジーの魅力はその多様性にあると思うからです。 そんでもって、ドラゴンが現在の環境に適応できるかというと、おそらく否。 恐竜を中生代(特に恐竜王国だった白亜紀)では、現代よりも気温が10℃~14℃高かったそうです。 ということは、現代は中生代よりも10℃~14℃低いわけです。 調べたところ、ティラノサウルスの体温は38℃くらいだと推定されます。体温は大型の種であるほど高温になるそうです。慣性恒温性であるとはいえ、日向ぼっこ程度の外部熱源では、現代の気温で38℃の体温を維持するのは難しそうですね。外温性変温動物の例として、トカゲの体温はほぼ気温と一緒なのだとか。 火山帯の近くなら、あるいは……って、それじゃ、火山を舞台にした物語にしか登場させられないじゃん。 どうにか、もうちょっと出現頻度を上げられないものか。 創作の世界だから、ある程度は物理法則を無視するにしても、「ファンタジーだから」では済ませたくない。
なので、とりあえずドラゴンが外温性動物という仮定を変更しよう。 先日も書きましたが、最近の発掘で恐竜の羽毛が発見されました。慣性恒温に頼れない小型恐竜は羽毛を使って体温を保持していた可能性があるそうです。つまり、内温性動物としての特徴を持ったドラゴンもありえなくはない。そもそも恐竜だって外温か内温かはっきりしていないし。中間の性質を持っていると再定義しよう。 (内温性をメインにしないのは、先日書いた通り、エネルギー効率の問題で肉体を大きくできないから。巨大であることもドラゴンの魅力の一つとして妥協はできない) さらに、渡りの習性を加えてはどうか。 夏鳥が繁殖にために夏に来て、冬になると越冬のために南に去っていくように、ドラゴンも冬が来たら暖かい地方に渡りをする。そうすれば、編隊しながらドラゴンの群れが飛んでいくという異世界情緒あふれるシーンも書けるし、冷気が苦手という弱点を持たせられる。 ただし、その場合はドラゴンの成長速度はものすごく速いわけですが。少なくとも、卵から孵って冬が来るまでの半年で飛行できないといけませんので。 実際、恐竜の成長速度は異常に速かったそうです。詳しい資料はないのですが、孵化したばかりの4kgくらいの幼体が数週間で40㎏くらいになるとか。
恐竜から進化したとされる鳥類も、種類によりますが孵化から数週間で巣立ちをしますしね。 草食恐竜は卵から孵って間もなく立って歩くことができたそうで、そのため子供のうちから独力で餌を探していたそうです。その反面、肉食恐竜は子育てをしていたというのだから面白いですね。言い方を変えれば、子育てを必要とするということは繁殖において手間がかかる。ファンタジー界隈において、草食ドラゴンというのはあまり見かけませんが、その繁殖力は草食動物よりも低いと考えるのが妥当でしょう。 まあ、爬虫類は冬眠の習性もあるので、スタンダードに冬場は冬眠させてもいいんですが。穴蔵で。先日書いた設定ですと、老成期のドラゴンは飛行能力を失うので、渡りではなく冬眠するのかもしれませんね。 いずれにせよ、現在の人間の生存に適した環境が彼らにとって寒すぎるというのは事実。いかにドラゴンが特別だとはいえ、大型の種は無事では済まないでしょう。それに適応できた中型から小型の種をメインで登場させるのが落としどころでしょうか。 ■現時点での総括 白武式のドラゴンの定義とは、内温性動物の特徴を部分的に備えた外温性動物であり、呼吸を補助する気嚢を有し、飛翔するのに翼の他に、体内にメタンガス等の気体を生成・蓄積した「飛行補助を目的とした浮袋」を備え、冬越えのために冬眠、あるいは夏鳥のような「渡り」の習性を持つ、卵生の大型爬虫類というのが最新の見解です。
変更する可能性は大いにあります。 ■余談、巨大化昆虫について 中生代は恐竜の時代ですが、同時に巨大昆虫が跋扈する時代でもありました。
開帳が75㎝を超えるトンボや、50㎝を超えるゴキブリやムカデが動き回る絵面は何とも強烈ですね。 どうしてやつらが巨大化したかというと、簡潔に書けば酸素濃度の問題だそうです。
酸素濃度が高いと巨大化する傾向にあるのは実験で実証されているそうです。 逆に、現代の昆虫がおおむね小さいのは中生代に比べて酸素濃度が低いからなんですね。 ちなみに、恐竜が大きかったのに酸素濃度は関係ないようです。そもそも、恐竜が発生した中生代の三畳紀あたりはむしろ低酸素だったようで、恐竜の低燃費な種族特性があったからこそ後の時代で覇権を握ったのだとか。 更に余談ですが、酸素濃度が高くても人間は巨大化できません。 なぜかというと、酸素の吸収効率の問題。人間は酸素呼吸のための精密な循環器を備えているが、その吸収効率は驚くほど悪いのだとか。だから、過度な運動をすると息切れする。乳酸が溜まり、疲労する。 それと比べ、昆虫の幼体は皮膚より酸素を直接吸収するため効率が高く(成体は気門によってある程度調整できる)、特に飛翔昆虫の代謝率は動物界最高なのだとか。言われてみれば、確かにハエが息切れしたり、疲れたりって見たことないですよね。 また酸素濃度が高いということは大気密度が高く、レイノルズ数が増えるため”浮きやすく”なるそうです。これはプテラノドンなどの翼竜にも当てはまるようで、ひいてはドラゴンの飛行の補助にも活用できますね。 しかし、大型クリーチャーが用意できるからといって、安易に環境の酸素濃度を変えるわけにもいきません。 なぜなら、人間は酸素濃度が高いと悪影響を受けるからです。過剰な酸素供給は細胞の損傷を招き、視覚障害や呼吸困難などに見舞われるそうです。人間が主役となる世界でそれは都合が悪いでしょう。仮に適応したとして、適応した結果どうなるのかちょっと想像つきませんし。また、酸素が増えるということは火災も頻発するでしょう。こと人間に関して、安易に適応したと設定するのは知性や文化の面で更に考察することが増えるので遠慮したいところ。 とりあえず、中生代の昆虫類は巨大化することで酸素の毒性に耐性を付けた、ということさえ覚えていればよいかと。 とはいえ、森林伐採が深刻化する現代と自然が豊かな時代では酸素濃度が違うでしょうし、世界観的には「今より酸素濃度が多少高かった」という理由によって、多少は巨大な昆虫を登場させてもいいのでしょうけどね(設定を全て化学式に当てはめるなら、そもそもファンタジーなんて書けない)。 また、内温性動物が寒い地方に行くにしたがって大型化する傾向があることをベルクマンの法則と言いますが、昆虫に関しては逆で暖かい地方に行くほど大きくなる傾向にあるそうです。
いわゆる逆ベルクマンの法則ですが、法則というほどの絶対性はないようです。南国でもスモールな昆虫はたくさん生息しています。単に温暖な気候だと(食料が豊富であったり、そもそも大きいほうが外敵に襲われ難いなど)小さくなる必要がないだけなのではないかと考えられています。 とはいえ、人間の時代が続いていく――人間に適した環境が維持され続けることを考えると、いくら異世界だとしても、ドラゴンや巨大昆虫はいずれ姿を消していくことは間違いないでしょう。 PR |
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創作家になれるよう、亀の歩みで成長中。
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