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日記、ところにより妄想。
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4/13のことである。

利用者も寝静まった深夜。仮眠をとる前に一服しようと、煙草を咥えて外に出た。

星の綺麗な夜。見知った星座を探そうと空を眺めていた僕の視界の隅を、黒い影が横切った。

かすかな羽音。影はすぐそばの電線に舞い降りる。それは鳥だった。

――でかいな。

カラスかとも思ったが、カラスが夜に飛ぶはずがない。じゃあ、コウモリか。いや、コウモリの体格を優に超えている。

だとしたら、なんだ。あんなでかい鳥が、こんな街中にいるのか。

興味をひかれ、僕は電線の真下まで歩み寄った。

そこで、それと目があった。

――フクロウだった。

驚きを禁じ得なかった。腐っても田舎育ち。タヌキやイタチなど、野生動物は見慣れている。しかし、田舎から離れたこんな街中で、まさか野生のフクロウにお目にかかれるとは。

フクロウはしばらく僕をじっと見つめていたが、飽きたのか、それとも煙草の煙が危険だと感じたのか、音もなく彼方へと飛んで行った。

古来よりフクロウは森の賢者とされ、知恵の象徴と見られてきた。

しかし、日本ではあまり縁起の良い鳥ではない。死の象徴とされ、見た者に不吉を招くとされる。青森のタタリモッケなどはその性質をよく表しているだろう。

その翌日の深夜、熊本で震度7の地震が起きた。フクロウと出会って24時間後のことである。

振動は僕が勤務している地域まで及んだが、利用者や施設にさしたる影響はなかった。

不安がる利用者を明るくなだめながら、僕はあのフクロウとの邂逅を思い出していた。

あのフクロウは賢者として僕に何かを伝えに来たのではないか。

いや、それとも――

余震は続く。いまもなお。後者でないことを、祈らずにはいられない。


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1985/12/07
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創作家になれるよう、亀の歩みで成長中。
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