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日記、ところにより妄想。
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祖父が危篤状態になり、ちょうどお休みだった僕は慌てて帰郷。

医師と看護師の適切な対応によってどうにか持ち直し、僕はまだ息のある祖父と再会することができました。

しかし、次はもう無理だろうとのこと。

数年前から認知症を患い、骨折を機に入院生活を送っていた祖父。元気だったころは、僕よりも背が高く、あちこち連れまわしてくれました。

それが、今ではすっかり痩せ衰え、枯れ木のような姿になっています。

その数時間後、祖父の容体が悪化。そっと息を引き取りました。

月並みな言葉ですが、僕が帰ってくるまで待っていてくれたのでしょう。そして、思い残すことなく命を終えたのでしょう。

心臓が停止したばかりの遺体というのは本当に温かく、まだ生きているのではないかと錯覚してしまいます。

しかし、筋肉は弛緩しきって口は閉じられず、開きっ放し。血が廻っていないため顔は青白い。亡骸に触れていると少しずつ、本当に少しずつ、冷たくなっていきました。

不思議と涙は出ませんでした。家族はわんわん泣いているのに、僕だけが平静でした。

自分の薄情さ加減にうんざりします。それどころか通夜、葬式に備えて仕事をどう調整するか、どうすれば同僚の負担を最小限にできるか、そのことばかりを考えてしまいます。

あれだけお世話になった人が亡くなったというのに。恥も外聞もなく泣きわめけばいいものを。

唐突なことで感覚が麻痺しているのだと信じたい。そうでなければ、自分の人間性というものを疑ってしまう。ただでさえ、自分は他人の気持ちがわからないのに、自分の気持ちすら把握できていないことになってしまう。

あるいは。自分で思っている以上に、覚悟が決まっていたのでしょうか。

高齢者が入院するということは、ある意味、死の宣告にも等しい。治療を受けたとしても回復することはない。絶対と言っていいほどありえない。ADLを如何に維持し、QOLを高め、ゆるやかに苦しまずに逝けるかがターミナルケアの本質だ。

いつか、そういう日が来る。入院したその時から、僕の中ではすでに、祖父は生きてはいなかったのかもしれません。

通夜、葬式と忌引き休暇を取りました。

荷物を取りに一度帰宅しましたが、これからまた里帰りをします。

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1985/12/07
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F県に棲息するナマモノ。
創作家になれるよう、亀の歩みで成長中。
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