日記、ところにより妄想。
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仕事場の玄関の壁には、いくつかの穴がある。
前の看板を固定していた時のネジ穴だ。 僕が勤めている会社は、この数年で何度か経営主と名義が変わっている。その都度、看板を交換してきた。壁に穿たれた直径数ミリの穴の数は、そのままうちの会社の歴史を表している。 さながら、スズメバチの巣のようだ、と思った。あいつらは一年で一個の巣を作り、翌年にはその巣を放棄して新しい巣を作る。屋根裏にあったスズメバチの巣の数を数えて築年数を知る……というのは、どこかで読んだ漫画の話だったか。 そんなことを考えながら玄関先で煙草を吸っていると、一匹の蜂が飛んできた。 おそらくは狩り蜂……アナバチか何かだろう。軽やかに壁に止まると、そのまま穴の中に入っていった。せわしくなく頭を動かして、何やら咥え込むと、再びどこかへ飛んで行ってしまった。 この穴、よもや巣になってはおるまいな? スズメバチほどの脅威はないが、蜂は蜂だ。気になって穴をのぞいてみると、そこには小さな尺取り虫が何匹か丸まって収められていた。あの蜂がくわえていたのは尺取虫だったのだ。 気温が下がり始めて、穴の中に身を寄せる尺取虫を狙ったのか。それとも、どこかで捕まえた尺取虫を隠していたのか……。 久々に面白いものを見た。ミツバチやスズメバチと違って、あの類の蜂はなかなか人間の生活圏では見かけない。いや、いるにはいるのだが、おそらく一般人の知るところではないだろう。なにせ、興味がない。 だが、それでいい。 人間が彼らに関心がないように、彼らも人間には関心があるまい。あのアナバチ(仮)も、別にうちの会社の経歴など気にも留めていないのだろう。 好きの反対は無関心と誰かが説いたが、無関心で成り立つ関係も世の中にはあるだろう。無関心と無関係はまったくの別物だ。 蜂は蜂の世界で、人間は人間の世界で生きればいい。 ……と、思うのだが。 蜂が寄ってくると知って放置していては、職務怠慢だとか言われそうである。 PR |
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白武士道
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38
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性別:
男性
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1985/12/07
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絵画、読書、小説執筆
自己紹介:
F県に棲息するナマモノ。
創作家になれるよう、亀の歩みで成長中。
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