日記、ところにより妄想。
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2/4の後半部。
よく考えたら残り2Pくらいしかなかった。 かなり急いで書いたので、最後はほぼ会話文。これまでの雰囲気が一気に崩れた感。 堅苦しく書くのって結構疲れるんですよ。完全版ではそれっぽく修正されているでしょう。 しっかし、本当にキャラクター同士の掛け合いが下手だねぇ、僕は。 + ヴェラスに滞在して二日目の早朝。朝靄の晴れぬうちから、ミリアルデとイルザは宿の庭先を借りて組手と組太刀の稽古を一刻ばかり行った。 イルザは侍女という立場ではあるが、譜代武家の一員として剣や槍、弓といった武芸を修めている。中でも短剣の扱いに長け、その腕前は、追い剥ぎの眉間を射抜いた投擲術を見ての通りだ。剣のみの実力を問えばミリアルデが勝っているが、総合力で言えば、積み重ねた経験と技術が円熟しているイルザのほうが一枚も二枚も上手である。 木刀を振るう二人の表情に疲労の陰りはなかった。ミリアルデは、どれほど肉体を酷使しても一晩で完全に回復する。漲る若さと、日頃からの激烈な鍛錬の賜物であった。 稽古を終えて少し遅めの朝食を摂ると、二人は旅支度を整えるために市へ繰り出した。 露店の並ぶ街路は人々の活気に満ちていた。食料品や衣類、食器、武具、珍しい交易品などがいくつも並んでおり、実に華やかで、見飽きない。 「おお、昼間はまた別格の賑やかさだね」 思わずこぼれた感嘆の声さえ、喧騒にかき消されていく。 「左様ですね。私も、これほどの賑わいは目にした事はございません」 「やっぱり、うちって田舎だったんだなぁ……」 モリスト地方も由緒正しき土地柄ではあるが、レスニア王国においては東の果て。僻地といっても過言ではない。郷里においては、これほどの人の波が見られるのは、祭りの日くらいなものだった。 「呆気に取られても仕方ないわね。さ、やることをやってしまいましょう」 「御意に」 二人は雑踏に紛れて、買出しを始める。 手に入れなければならないものは幾つもあった。まず、旅をする上で欠かせない蟲除けの香草、次に保存食だ。そろそろ雨季が近づいてくるので、水馬の皮で作られた雨衣も買い足しておきたいところである。それらの質と値段を照らし合わせ、納得がいくものをミリアルデは買い叩いていく。 二、三軒をじっくりと見物したところで、二人は昼食を摂ることにした。 屋台で頼んだのは、油菜や山菜に衣をつけて油で揚げたものを、米と麦を半々にして炊いた飯に乗せ、甘辛いたれをかけたものだ。 揚げ物のからりとした衣を噛むと、熱くて旨い汁気がじゅっと溢れる。鼻腔を潜るにわずかに漂う花の香りが実に風流で、えもいわれぬ幸福感で満たされた。 「もし、そこのお嬢さん」 二人が揚げ物に舌鼓を打っていると、ふいに声を掛けられた。白く塗装された硬革鎧を纏い、腰の革帯から長剣を下げた、三十がらみの男である。 「あら、自警団が何の用?」 自警団とは軍事力の不保持を義務付けられた貴族が、領地の治安維持のために組織した実力部隊である。兵員の規模や装備などの基準が法に定められており、それに則って編成される。荒事もこなさねばならないため、退役軍人や兵役経験者、傭兵などが就くことが多かった。 「食事中に悪いねぇ。ちょっと話を聞きたいんだけど、いいかな?」 「話?」 男は、無精髭が生えた顎をさすりながら、続けた。 「関所から、ガラフなる追い剥ぎを倒した、旅の武芸者が入城したって報告があってね。現場を確認させてもらったわけよ。遺体は犬やら蟲やらに食われていて、人相は分からなかったけど、ありゃあ間違いなくガラフだわ。だって、あの大身槍、うちの備品だもの。情けない話だけどね、前に一度小競り合った時、奪われちゃったのよ。上からはかんかんに怒られてさぁ。でさ、ガラフを討ち取ったのってお嬢さんたちで間違いない?」 ミリアルデとイルザは一瞬顔を見合わせた。はぐらかしても良かったが、結局は素直に応えることにした。 「ええ、まあ」 「あら、そう。自警団を代表して、礼を言わせて貰うよ。そのついでと言っちゃ何だけどね、ちょっと頼まれてくれないかな。お前さんの武勇伝、伯爵の耳に入ったみたいなんだよねぇ」 「はぁ」 「お前さんの腕前を見たいんだと。面倒臭いだろうけどさ、こっちの顔を立てると思って屋敷に招かれてくれないかなぁ?」 貴族が屋敷に旅の武芸者を招くのは珍しいことではない。食事や宿を提供する代わりに情報を提供してもらったり、他の土地で自分の評判を高めてもらったりするからだ。それに加え、自らの子弟に他流の武術を学ばせる、良い機会でもあった。 「つまり……御前試合ってこと?」 「いかにも、だねぇ」 その返答に、ミリアルデが深く微笑む。各地の武芸者と剣を交えることこそ、武者修行の醍醐味だからだ。 「相手は?」 「うちの若手。強いよ」 その返答に、ミリアルデは意外そうな顔をする。 「あら、あなたじゃないの?」 「勘弁してくれないかなぁ。もう歳なんでね。あんまり無理はしたくないの」 「……まあ、いいわ。わかりました。お受けしましょう」 「日取りはどうする?」 「なら、明日にしましょう」 「あいわかった。では、当日、宿に迎えを寄越すから、そのつもりで」 そう言うと、男は去って行った。 「面白くなってきたわね。イルザ、急いで太刀の手入れができる職人を探すわよ」 「御意に」 ミリアルデは興奮気味に飯の残りをかきこむと、台に銅貨を数枚置いて立ち上がった。 PR |
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1985/12/07
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F県に棲息するナマモノ。
創作家になれるよう、亀の歩みで成長中。
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