なんとなく続きを書きたくなった。後悔はしてない。

――少女剣士。

それは白武作品を語る上でなくてはならない存在。
白武士道が書き綴った小説群の中で、実に半数の主人公が刀剣を得物にしている。

それは若さゆえの過ちか。
はたまた…………やっぱり、若さゆえの過ちか。

という書き出しで始まった、少女剣士討論会だが。

そこに、異議を申し立てるものが一人、現れた。

 

？？？
「異議……大いにあるとも！」

？？？
「確かに白武の奴は少女剣士大好き人間だ。
だがな、作中、戦ってたのは少女だけじゃないんだぜ？」

クロムウェル（※1）
「俺が！　俺たちが！　少年剣士だ！
　さあ、白武作品中、最強の少年剣士を決めようじゃないか！
　なあ、アッシュ!?」

アッシュ（※2）
「……義父さん。こんな茶番に僕を巻き込まないでくれますか？
　そもそも、僕は剣士じゃないですし……」

クロムウェル
「義父さんは、お前をそんなノリの悪い子に育てた覚えはありません！」

アッシュ
「ノリとかそういう問題じゃなくてですね……というか、少年剣士……？」

クロムウェル
「なんだ、アッシュ。その目は？」

アッシュ
「いや、義父さんのどこが少年なのかな、と」

クロムウェル
「俺のどこが少年か、だと？
そんなの外見に決まっているだろう。実年齢はとーっくに還暦迎えているが、竜の血の祝福を受けているから、外見は若々しいままだZE☆」

アッシュ
「義父さん、そんなキャラだっけ……？」

工藤（※3）
「なんや、おもろそうな企画やなぁ」

アッシュ
「槍使い来ちゃった！　少年だけど槍使い来ちゃったよ！」

アレックス（※4）
「最強の少年剣士ですか……となると、私が出ないわけにはいきませんね」

アッシュ
「剣使うけど、あなた中年ですから！」

タキネス
「ほっほっほ。わしを忘れてもらっては困るのじゃ！」

アッシュ
「あなたが一番年食ってるからね！
　というか、少年剣士いないじゃん！　作者、どれだけ女の子しか書いてないんだよ！
　書くもの書くもの趣味丸出し過ぎる……！」

クロムウェル
「白武の今後の課題は、男を書くことだな」

アッシュ
「いえ、まず小説を書くことだと思います……」


おわり。

（※1）…短編『双頭竜』の主人公。竜殺しにして竜騎士。
もともと『双頭竜』は一人称小説で「俺」という代名詞で物語が進んだが、続編である『空色の瞳』が三人称小説だったために急遽固有名詞がつけられた。
「高貴なる紅」「無垢なる蒼」という二本の魔剣を使う双剣士。剣士としての力量はコニィ以上。事実上、白武小説の中では最強の剣士。どう言い繕っても少年じゃないけど。
ちなみに、アッシュやコニィとは義理の親子の関係だとか。

（※2）…長編『空色の瞳』の準主人公。灰色の王。
コニィの幼馴染であり、彼女が剣士の道を志す動機になった青年。
ミステルティンという上位存在をその身に宿したために、新人類エルディアスより狙われる悲劇のヒロイン←違う。
本職は教師であり、考古学者。戦闘力は皆無。少年でも剣士でもない。
人畜無害な好青年だが、泣き顔が好きと作中で公言したためSっ気があると思われる。

（※3）…『詠命剣奏』の二話ボス。水槍の使い手。
水を自由自在に操り、水滴をマシンガンのように発射したり、敵を水塊に沈めて水圧で封じ込めたりする。
伊澄君にマギウスと詠命剣奏ルールの補足をするための存在←違う。
終盤まで生き残っているのでかーなーり強い。実際、八潮を一度倒している。
過去に七波さん（八潮のお母さん）を助けたことがあり、彼をキーパーソンに、詠命剣奏の前半部を描くスピンオフ作品を考えていたが、考えていただけで終わった。

（※4）…長編『エリクシルを継ぐ者』の準ラスボス。
ベルアルカの恩人にして剣の師。辺境最強の傭兵部隊「朱鎧騎士団」の出身。
ベルアルカが赤い外套を羽織っているのは、朱鎧に憧れてのこと。
現役を退いた今は、神父として教会を営む傍ら、孤児の保護をしている。
剣と刀を携え、二種類の戦闘形態を持つ……が、フルプレート装備でベルアルカの速度に比肩するその肉体性能こそが本当の脅威ではなかろうか。

（※5）…連続短編集『風の軌跡』の登場人物。三銃士。事象殺し。
天涯孤独の身の上になったエーシェの育ての親。相性の問題こそあるものの、作中では最強として描かれたエーシェを相手に負け知らずという怪物。
剣士としての技量はクロムウェルとどっこい。だけど、高齢で肉体性能が下がっている分、総合力では劣る。